最終更新 2026.10.28
テイクアウト・弁当・移動販売は、店内で食事をしてもらう飲食店よりも小さな設備で始められる形が多い業種です。一方で、店で作って売るのか、配達するのか、車で売るのかによって、必要な許可や守るべき決まりが変わります。この記事では、開業前に押さえておきたい「市場」「許可と届出」「お金」を、公的機関の情報と、当サイトに掲載しているテイクアウト・宅配・移動販売の本部7件のデータで整理します。
結論:テイクアウト・弁当・移動販売の開業の要点
- 弁当や惣菜を店で作って売る・配達するなら、保健所の「飲食店営業」の許可が必要です。 ネット販売や他店への卸売りをするなら「そうざい製造業」の許可、キッチンカーなら自動車での営業の許可が必要になり、容器に入れて売る食品には原則として食品表示が求められます。
- 当サイトに掲載している本部のうち、開業資金を掲載している6本部では、5万円から500万円まで幅があります。 ただし、既存の店舗や自宅の設備を使う宅配・配食から、車両を使う移動販売、店舗を構えるテイクアウト店まで形が異なり、金額に含まれるものもそろっていません。
- ロイヤリティの形は本部ごとにばらばらです。 7本部のうち、ロイヤリティなしが2本部、売上の割合・月額の定額・定額と売上の割合の組み合わせが各1本部で、2本部は掲載値がありません。
弁当・惣菜(中食)の市場
日本惣菜協会の「2025年惣菜市場規模」によると、2025年の惣菜の市場規模は11兆7,075億円(前年比3.7%増)で、5年連続で増えています。2006年の7兆8,129億円から20年で約50%増えた一方、食料品スーパーとコンビニエンスストアを合わせた割合は市場全体の6割を占め、20年前の「5割弱」から上がっています。
出典:nippon.com「惣菜市場規模、20年で5割増」(日本惣菜協会「2025年惣菜市場規模」をもとにした記事、2026年4月30日)/日本食糧新聞「25年惣菜市場規模 過去最高11兆7075億円」(2026年4月15日)
移動販売については、中小企業基盤整備機構のJ-Net21「移動販売」(2026年1月30日)が、調理済みの食品などを保温・保冷設備のある車で売る形を取り上げ、「テイクアウト消費の普及を受けて拡大傾向にある」「固定店舗と比べて初期投資・固定費を抑えられ、出店場所を柔軟に選べる点も注目されている」としています。ただし、移動販売だけの統計はないとしています。
市場は伸びていますが、その多くをスーパーとコンビニが占めています。加盟を考える本部が、どんな立地・客層・価格帯で売る前提なのか、スーパーやコンビニの弁当とどう違うものを売るのかは確認しておきたい点です。
開業に必要な許可・届出
弁当・惣菜のテイクアウトでは、どこで作り、どう売るかで保健所の許可の種類が変わります。東京都中央区は次のように案内しています。
| 作り方・売り方 | 必要な許可 |
|---|---|
| 店舗で作り、店頭で対面販売する/注文を受けて配達する | 飲食店営業 |
| ネット販売や、他店への卸売りをする | そうざい製造業 |
このほか、業態を問わず必要になる主な手続きは次のとおりです。
| 手続き | 提出先 | 内容・注意点 |
|---|---|---|
| 営業許可の申請 | 店舗を管轄する保健所 | 施設が基準に合い、工事が終わっていないと許可にならない。申請手数料は自治体ごとに決まっており、相模原市の例では飲食店営業の新規16,000円、福岡市の例では16,600円 |
| 食品衛生責任者の設置 | (許可申請時に届け出る) | 許可・届出の対象となる施設には原則として設置が必要。調理師・栄養士・製菓衛生師などの免許があればなれる。ない場合は養成講習会を受講する |
| HACCPに沿った衛生管理 | — | 2021年6月1日から、原則すべての食品等事業者に義務付け |
| 個人事業の開業届出書 | 納税地を所轄する税務署 | 事業を始めた年分の確定申告期限まで |
出典:中央区「弁当・惣菜を調理・販売する飲食店の皆さまへ」/相模原市「営業許可申請書」/福岡市「食品に関する営業を始める皆様へ~営業許可申請の手引き~」/愛知県「営業許可制度の見直し及び営業届出制度の創設について」/中央区「食品衛生責任者の資格はどうしたら取れますか」/国税庁「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」
包装済みの食品を売る移動スーパーなどは「営業届出」
2021年6月1日に食品衛生法の改正で営業届出制度ができ、許可までは要らない営業の一部は保健所への届出が必要になりました。静岡県の案内では、包装済みの魚介類だけ・包装済みの食肉だけを売る場合や、弁当販売業、野菜果物販売業などが届出の対象です。冷凍・冷蔵しなくても衛生上の危害のおそれがない包装済み食品だけを売る場合は、届出の対象外とされています。
移動スーパーのように多くの品目を扱う場合は、包装されていない魚や肉を扱うか、要冷蔵の商品を売るかで、届出で足りるのか許可が要るのかが変わります。本部が扱う商品の範囲と、どの手続きを誰が行うのかを確認してください。
容器に入れて売るなら「食品表示」も確認
弁当を容器に詰めて並べて売る場合は、食品表示にも気を付ける必要があります。中央区は「原則、容器包装に入れられた食品には食品表示が必要です」としたうえで、「注文を受けてから容器に詰める場合や対面で直接客に提供する場合など、一部例外もあります」と案内しています。
作り置きした弁当を店頭に並べるのか、注文を受けてから詰めるのか、他の店に卸すのかで、表示の要否が変わります。フランチャイズでは、表示ラベルを本部が用意するのか、加盟店が作るのかも確認しておきたい点です。
キッチンカー(自動車での営業)の許可
キッチンカーで調理・販売するには、保健所の許可が必要です。北海道の案内では、車の給水・廃水タンクの容量によって、車内でできることが次のように分かれています。
| 給水・廃水タンクの容量 | 車内でできることの目安 |
|---|---|
| 約40リットル | 1工程程度の簡易な調理。水は手洗い程度で、調理にほとんど使わないもの |
| 約80リットル | 2工程程度までの簡易な調理。調理にも水を使うもの、調理器具の洗浄が必要なもの |
| 約200リットル | 多品目の提供。調理にも大量の水を使うもの、器具・食器の洗浄や原材料の下処理が必要なもの |
北海道はあわせて、「自動車で使用する食品の調製、予備加工、包装等は、原則として食品衛生法に基づく許可を受けた施設(飲食店等)で行ってください」としており、仕込みをする場所も別に必要になります。
許可が有効な区域は、2021年の法改正で広がりました。北海道では、2021年6月1日以降に新たに許可を受けた場合は「全道一円」で営業でき、埼玉県では、同日以降に県内いずれかの自治体で許可を受けたキッチンカーは、2022年6月1日から県内全域で営業できるとしています。 出典:北海道「自動車営業をはじめられる方へ」/埼玉県「キッチンカー(自動車)の営業許可申請」
高齢者向けの配食なら「配食ガイドライン」も参考に
高齢者に弁当を届ける配食サービスについて、厚生労働省は2017年3月に「地域高齢者等の健康支援を推進する配食事業の栄養管理に関するガイドライン」を公表しています。同省の参考事例集では、献立作成について「一定規模以上の事業者の場合は、管理栄養士又は栄養士(栄養ケア・ステーション等、外部の管理栄養士又は栄養士を含む。)が担当(監修を含む。)することを推奨しています」と紹介しています。
出典:厚生労働省「『地域高齢者等の健康支援を推進する配食事業の栄養管理に関するガイドライン』を踏まえた取組の参考事例集」(2019年2月時点版)
配食のフランチャイズに加盟する場合は、献立を本部の管理栄養士・栄養士が作っているか、やわらかい食事や栄養を調整した食事に対応しているかも確認しておくと、利用者や家族への説明がしやすくなります。
開業資金はどれくらい?
当サイトに掲載しているテイクアウト・宅配・移動販売の本部のうち、開業資金(掲載値)がある6本部は次のとおりです。
| 比較 | 本部 | 開業資金 | 加盟金 | ロイヤリティ | 契約期間 |
|---|---|---|---|---|---|
| なないろ弁当テイクアウト・宅配・移動販売 | 5万円 | 0円 | なし | 3年 | |
| 移動スーパーはじ丸テイクアウト・宅配・移動販売 | 15万円 | 0円 | 定額 5.5万円 | — | |
| ONKURIチェーンテイクアウト・宅配・移動販売 | 58万円 | — | — | 3年契約 | |
| 高齢者向け配食サービス まごころ弁当テイクアウト・宅配・移動販売 | 60万円 | 0円 | 5%+20万円 | 5年間(パッケージ概要ページ) | |
| ジェリーズポップコーンテイクアウト・宅配・移動販売 | 181.5万円 | 98万円 | なし | 2年間 ※以降2年毎に自動更新(更新料なし) | |
| 丼丸テイクアウト・宅配・移動販売 | 500万円 | — | — | — |
ただし、6本部の金額は同じ条件で並んでいるわけではありません。
| 本部 | 業態 | 金額と含まれるもの |
|---|---|---|
| なないろ弁当 | 既存の飲食店・介護施設などの厨房を使う弁当の宅配 | 開業費用5万円(公式。加盟金・保証金・厨房機器・工事費は0円。月額負担1万円~の記載あり。税区分の記載なし) |
| 移動スーパーはじ丸 | 移動スーパー | 契約時に必要な費用15万円(税別)~(公式)。このほか車両リースが新車で月額6万円台~、中古車で月額4万円台~ |
| ONKURIチェーン | 配食・弁当の配達など(ボランタリーチェーン) | 初期費用58万円(BMフランチャイズの掲載値。公式トップでは「加盟金、保証金等はゼロ!」を確認) |
| 高齢者向け配食サービス まごころ弁当 | 高齢者向けの配食(公式LPでは自宅での開業、既存の店舗への併設も可能としている) | 公式LPでは、すべて一から揃える場合「概ね60万円~90万円前後」、工事代0~150万円程度(税抜、店舗取得料は含まない)。公式のパッケージ概要ページでは、加盟金500,000円・保証金400,000円と、内装工事費・厨房機器などの小計「200~300万円台」が示されており、公式の中でも表記が分かれている |
| ジェリーズポップコーン | ポップコーンの販売 | 開業資金1,815,000円(税抜。加盟金等980,000円(税別)、機材備品835,000円(税別)を含む) |
| 丼丸 | 海鮮丼のテイクアウト店 | 500万円(BMフランチャイズの掲載値。公式の加盟店募集ページでは金額を確認できていない) |
6本部の掲載値は5万円から500万円まで幅があり、6本部のうち4本部が100万円未満です。このほか、宅配専門とんかつ店のかさねやは、公式で「加盟金や開業資金は必要ございません」としていますが、総額の記載がないため表には入れていません。
掲載値で最も高いのは店舗を構える海鮮丼のテイクアウト店(丼丸)です。100万円未満の4本部は、弁当の宅配・配食(なないろ弁当、ONKURIチェーン、まごころ弁当)と移動スーパー(はじ丸)でした。金額を比べるときは、物件・工事・車両・厨房機器が含まれているかをそろえて本部に聞くのが確実です。
ロイヤリティは本部ごとに形が違う
当サイトに掲載しているテイクアウト・宅配・移動販売の7本部を、ロイヤリティの形で分けると次のとおりです。
| ロイヤリティの形 | 本部と公表値 |
|---|---|
| なし | ジェリーズポップコーン(「ロイヤリティ、一切なし」)、なないろ弁当(「ロイヤリティ 0円」「システム手数料 0円」。ただし「毎月の月額負担も、なんとたったの 1万円~」の記載あり) |
| 売上の割合 | かさねや 売上げの5%(運営Webサイトを経由した月間売上は7%) |
| 月額の定額 | 移動スーパーはじ丸 月会費55,000円(税別)+入会管理費5,000円(税別)/月 |
| 定額と売上の割合の組み合わせ | まごころ弁当 ロイヤリティ200,000円、システム料 売り上げの5%(上限10万円)(公式パッケージ概要ページ。支払いの単位期間の記載なし) |
| 掲載値なし | ONKURIチェーン、丼丸 |
いずれも各本部の公式ページで確認した値です。
当サイトの飲食店(その他)の本部では、ロイヤリティは「売上の◯%」が19本部中11本部と中心でした(飲食店フランチャイズの開業ガイド)。テイクアウト・宅配・移動販売の7本部では売上の割合だけの本部は1本部で、ロイヤリティなしや定額のほうが多くなっています。
ロイヤリティがない本部でも、食材・容器の仕入れや、システム・車両の利用料として毎月の支払いが生じることがあります。ロイヤリティの名目だけでなく、毎月本部に払う金額の合計と、仕入れ値・原価率の見込みを合わせて比べると、実際の負担がつかみやすくなります。
個人とフランチャイズ、どちらで始める?
| 個人で独立 | フランチャイズに加盟 | |
|---|---|---|
| 営業許可・食品衛生責任者 | 必要 | 必要 |
| 初期費用 | 物件・内装・厨房設備、キッチンカーなら車両と仕込み場所 | 加盟金などが加わる。加盟金0円をうたう本部もある |
| 毎月の支払い | なし | ロイヤリティ・月会費・システム料など(形は本部による。なしの本部もある) |
| メニュー・食材 | 自分で開発し、仕入れ先を探す | 本部のレシピ・食材を使う。変えられる範囲は契約による |
| 食品表示 | 自分で作る | ラベルを本部が用意するかは本部による |
| 集客・注文の受付 | 自分で集める | 本部のブランドや、注文サイト・配達先の紹介があるか確認する |
自分のメニューや売り場を一から作りたい場合は個人で、レシピ・食材・注文の仕組みを本部に頼りたい場合はフランチャイズで、という分け方が考えられます。
テイクアウト・宅配・移動販売のフランチャイズ本部
当サイトに掲載しているテイクアウト・宅配・移動販売の本部です。「比較に追加」を押すと、最大4本部を1つの表で比べられます。
本部を選ぶときに確認したいこと
- 業態と必要な許可:店で作るのか、自宅や本部の施設で作るのか、車で売るのか。飲食店営業・そうざい製造業・自動車での営業・営業届出のどれが必要で、取得を本部がどこまで手伝うか
- 開業資金に含まれるもの:物件・内装工事・厨房機器・車両が入っているか、別途か。車両はリースか購入か
- 毎月の支払いの合計:ロイヤリティだけでなく、月会費・システム料・車両リース・本部から仕入れる食材や容器の価格
- 食品表示:容器に入れて売る商品の表示ラベルを本部が用意するか
- 販売場所と商圏:キッチンカーや移動スーパーなら、販売場所を本部が紹介するか。募集エリアに制限があるか(掲載値では、移動スーパーはじ丸は「バロー・ベイシア出店エリアを中心に展開中」、かさねやは公式で10都県を挙げている)
- 店舗数と実績:当サイトの掲載値では、丼丸は公式の沿革で2021年に370店舗、かさねやは公式で「直営加盟店合わせ170店舗体制へ」としています。まごころ弁当768、なないろ弁当60、ONKURIチェーン20はBMフランチャイズの掲載値で、公式では確認できていません
- 法定開示書面:中小小売商業振興法では、一定の要件を満たす本部に、事業の概要や契約の主な内容を契約前に書面で渡して説明することを義務付けています。書面を受け取り、収支モデルや解約の条件と照らして確認してください
- 契約期間:掲載値では、まごころ弁当・かさねやが5年(公式)、なないろ弁当・ONKURIチェーンが3年(BMフランチャイズの掲載値)、ジェリーズポップコーンが2年(以降2年ごとに自動更新、更新料なし)です
出典:中小企業庁「特定連鎖化事業(フランチャイズ)について」
金額や条件は変わることがあります。気になる本部は、資料請求や説明会で最新の内容を確認してください。



